カルス Part 2

さて、前回の投稿のまとめは、
カルスは『分化していない状態の植物細胞の塊』であり、
すなわち『ある特定の部品をつくるための専用の細胞にまだなっていない細胞の塊』
ということですね。
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さて、カルスについては少しはわかっていただけたものとして、
問題は、カルスはどんな場面で登場するのでしょうか。

というのも、植物を見ると、
ある一部分は必ず葉であり、またある一部分は茎であり、あるいは花であったり、根であったりしますよね。
基本的に、『分化していない細胞』がムキだしになることはありません。
分化していないということは、その細胞は外界の刺激に対してとても弱いのです。
そんなカルスが、一体どんな場面で活躍するのでしょうか?



例えば、茎を想像してください。
で、茎のどこかが折れてしまった、という場面を想像してください。
これは、植物としては一大事です。生長が止まってしまう!生存の危機です。

ここで、カルスの登場です!
植物は、傷口の部分にカルスを形成します。
分化していないカルスを傷口につくって、もう一度茎をつくりなおす作戦に出るわけです。
これは、葉や根が傷ついたときも同じです。
傷ついた部分を再度つくりなおして、生長を再開するのです。
カルスって重要ですね~。

こんな重要な働きをしているのに加えて、
カルスにはもう一つ優秀なというか、大きな特徴があります。

それは、『カルスはどんな部品にもなれる』という特徴です。
茎にできたカルスも、条件さえ整えば葉や根になれるわけです。
うまいことやれば、カルスがまるまる1つの植物にもなるのです。(こんな特徴を『全能性』といいます)

カルスの形成は、『植物ホルモン』と呼ばれる化学物質のバランスによって調節されています。
(微量で植物に影響を与えられることから、動物のホルモンになぞらえて植物ホルモンと呼ばれています)
そして、カルスから茎がでるか、葉がでるか、根がでるか、なども植物ホルモンのバランスで決定されます。
だから、植物ホルモンをうまいこと調整してやれば、カルスからまるまる1つの植物をつくることもできるというわけです。
反対に、分化をさせずにずっと生長を続けさせることもできます。

例えば、分化させるとこんな感じになります。
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茎みたいなんが出てるでしょ?


こんなふうに、カルスの生長や分化は人工的に調節しやすいことから、
バイオテクノロジーに応用されています。
カルスに遺伝子を導入して、有用なタンパク質をたくさん作らせる、ということが行われているのです。すごい世の中ですね。

こんなカルスを使って、僕も何かするわけです。(何をするかはもちろん言えないわけですが・・・)
今までカルスを扱ったことがほとんどないので、苦戦しそうですが・・・頑張ります!

最後に。
カルスは外界の刺激に弱い、と書きました。
育てているときに他の菌などが混入すると、菌の増殖に負けてしまい、カルスが死んでしまうことがよくあります。(こういった混入はコンタミと呼ばれます)
例えば、コンタミした結果どうなるかというと・・・
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こんな感じです。

切ないですねぇ・・・なるべく見たくないものです。

ほんとに長々とすみません。
読んでいただいた方、ありがとうございました!!
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by sasayanx | 2005-02-25 02:30 | 日々のメモ  

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